あらゆる仕事において、専門的な知識やスキルが求められることは少なくありません。
そのような「ハードスキル」(直接的に仕事の生産性とかを左右するもの。プログラミング技術とか。)を身に着けるにあたって、まず考えられるのが、良い大学を卒業するということが考えられるかもしれません。
しかし、良い大学を卒業したからといって、仕事のパフォーマンスも高いとは限りません。
というか、ほとんど無関係か、むしろ逆効果だったりします。
ある調査では、
- 一流大学を出た人たちと、そうでない人たちとの間では、仕事のコミットメントやモチベーションに差異はない。(R)
- むしろチームの輪を乱す傾向があるかも。
- 年収1000万円くらいを超えてくると学歴は収入と相関がみられなくなった。
ということがわかっていたりします。
たしかに良い大学を出ている人は、より質の高い知識やスキルを身に着けている確率は高いかもしれません。
しかし、殊仕事、ビジネスという点においてはそれがそのままプラスの方向に作用するわけではないということがわかります。
日本ではまだ学歴を重視する会社が多いとか言われていたりしますが、海外の重役たちはもう学歴とかに関連した「ハードスキル」ではなくて、「ソフトスキル」をより重視して人材を選んでいます。
ソフトスキルとひとくくりに言ってもいろんな種類があって、すべてにおいて完璧な人なんかはいませんし、自分が得意なところから磨いていくのが得策だと思いますし、そうすべきだと思います。
ってことで、Eastern Kentucky Universityによって調べられた(R)、重役たちが求める「ソフトスキル」をランキング形式で紹介したいと思います。
これから就活をする人や転職を考えている人はもちろん、すでに定職についている人も、昇進とかにつながるかもしれませんし、仕事のパフォーマンスへも影響してきますので、参考になるかと思います。
そもそも「ソフトスキル」って何?
「ソフトスキル」という言葉自体初耳であったり、聞いたことはあってもよくわかっていないという人もいるかと思いますので簡単に補足。
まず対概念である「ハードスキル」について説明します。
上でも軽く書きましたが、「ハードスキル」というのは、要するに、一般に「スキル」と呼ばれるような、専門知識、学歴、仕事の経歴、とかを指す言葉です。
つまり、プログラミングを組めるとか、「センス」みたいなものです。
一方で「ソフトスキル」とは何でしょう。
ここでは、
「ソフトスキル」= 対人関係の能力 + 人間性
のように定義されます。
つまり、単純に知識があるとかいう話ではなくて、常識があるとか、時間を守れるとか、相手のことを気遣えるとか、人を引っ張っていけるとか、そういう無形の能力という感じです。
つまり簡単に言ってしまえば、仕事の能力を抜きにして、「どんな人間か?」という感じでしょうか。
ソフトスキルのある人は、
とかいうこともわかっていて、仕事へのポジティブな影響だけでなく、プライベートとか、職場での人間関係も向上させてくれるのです。
まあ当然といえば当然かもしれませんが、周りへの配慮を忘れずに、常に気づかいをできているような人は、困ったときに周りからのヘルプも容易に得られるでしょうから、仕事におけるパフォーマンスも向上していくのでしょう。
人間関係は仕事におけるもっとも重要な要素であるとかいう研究や、親友との席が近いだけで仕事のパフォーマンスが爆上がりするとかいう研究もあったりしますしね。
ソフトスキルの有用性が強くうかがえます。
会社が求める「ソフトスキル」とは?
てなわけで、ようやく会社がどんなソフトスキルのある人材を求めているのかについてみてみることとしましょう。
調査では、学生が、会社の重役とのインタビューを行って、重役が、学生の面接時のパフォーマンスを評価し、また、重役に、社員に求める重要なスキルを尋ねるという形式で行われました。ちなみに90人の重役の人たちが参加してくれました。
では早速1位から見ていきます。
1位 誠実さ
5点満点でその重要性を採点してもらってその平均は4.93でした。
誠実さとは、正直で、道徳的で、モラルがあって、人徳があるということです。
これは誰もがうなずける点ではないでしょうか。
表裏なく、正直な人ならば、信頼して仕事を任せることができますし、たとえ今は専門的なスキルを十分に備えていなかったとしても、近い将来に力をつけて大きな戦力となってくれると考えられるでしょう。
ビジネスの相手とはもちろん、職場の同僚ともよりよい関係を築くことができるし、仕事のパフォーマンスにも大きなポジティブな影響があるでしょう。
誠実性は心理学の世界でも万能能力といわれたりする重要な要素ですからね。
さらに誠実性は遺伝的特性だけでなく、後天的にも伸ばせる能力であるというところも魅力です。
2位 コミュニケーション
平均4.91点でした。
誠実さと同率1位といってもいいくらいのスコアです。
コミュニケーションは、話し、書き、聞き、プレゼンすることに関する能力です。
人間関係が重視されている以上当然といえるのではないでしょうか。
意外と自分の意見ばかりで相手の言葉は右耳から入って左耳から出ていくというような人は少なくないですからね。
人間は自分の話を聞いてもらうのが好きな生き物ですから、相手の話をしっかり聞けて、かつ、自分の意見もしっかり持てるというのはビジネスにおいても非常に重要な能力ということがわかります。
敵を作らないように、人の横で「そうだ、そうだ!」といっているばかりでもいけませんからね。
相手や周りの意見を聞きつつ、自分の意見もしっかり構築していくというのが重要というわけです。
3位 礼儀正しさ、丁寧さ
平均4.81点でした。
マナー、作法がなっており、相手を気遣い、敬い、感謝をきちんと伝えられるということです。
たしかに日常的に生活していても、心のこもった感謝を伝えたり、伝えられたりする機会はそこまでない気がします。
特に親しい間柄になってきたりすると、感謝を伝えたりするのは照れ臭くなってきたりしてしまいます。
ビジネスの世界では、取引相手に感謝の気持ちを持ち、口に出すことは当然ですが、必ずしも相手への心からの敬いの気持ちがあるとは限らないのではないでしょうか。
相手が決して敬いたくないような人だったとしても、だからといってマナーをおろそかにしてしまったりするのはよくありません。
当たり前のようなことですが、当たり前のことを当たり前にできるというのが大事なのかもしれませんね。
4位 責任感
平均4.63点でした。
言葉の通り、責任感があって信頼できて、仕事をきちんとやり遂げ、問題解決能力があり、努力を惜しまず、向上心があり、善悪の区別がしっかりできるというような要素です。
最近、社会人は意外とみんな仕事で締め切りを守れていないのではないかという話を聞きました。
締め切りを守る、自分に与えられた仕事をしっかり期限までにやり遂げる、という当たり前のようなことがいつの間にか、締め切りの次の日の朝までならセーフ、みたいなよくわからないルールを定めてしまったりする人が多いのかもしれません。
いつも締め切りギリギリ、みたいな作家や漫画家の人の話はたまに聞きますが実際に信頼されている作家の方などは、必ず締め切りを守るそうです。
すべての人がそうだとは限らないでしょうが、締め切りを守るという一見当然のことを必ずやり遂げるという日々の積み重ねが次の仕事にもつながったりするのでしょう。
5位 対人間スキル
平均4.46点でした。
人柄がよく、素敵で、ユーモアのセンスがあり、フレンドリーで、共感的で、セルフコントロール能力があり、忍耐強く、社交的で、温かいという特徴です。
やっぱりよりよい人間関係を構築する能力が求められていることがわかります。
相手に寄り添って考えたり、時には一緒に笑い、時には励ましあいながら、よりよい関係を気づいていく能力が求められているのです。
ビジネスに笑いはいらない!みたいな主張をする人がいますが、一緒に作り上げる笑いは人間関係をよりよいものにする方法であるということがわかっています。
例えば、相手がぼけ、自分がツッコムことによって起きる笑いなんかが典型例でしょう。
それは、もちろん友人関係や恋人関係にも使えますが、ビジネスにおいても、人と人との関係であることは変わりませんから、大事なポイントだと思います。
もちろん楽しければすべて良しというわけでは決してありませんが。
6位 ポジティブな態度
平均4.35点でした。
楽観的で熱狂的、やる気があって、自信があるという態度です。
常に前向きということですかね。
別に、楽天的になりましょうということではありません。
物事には見方によってネガティブなものになったり、ポジティブなものになったりするものが多くあります。
例えば、上司から叱られた、作った資料のやり直しを食らったという出来事一つとっても、「あいつは自分の考えがわかっていない、もうテキトーに直して帰ろう」と考えるか、「この方法だと、自分の考えが相手に伝わらないのか。もうちょっと伝え方を変えてみるか、上司の意見を詳しく聞いて突き合わせてみよう」と考えるかで大きく変わってくるはずです。
見方次第で自分の成長につなげられることって意外とあるんですよね。
別に内向的な性格であっても、前向きな視点を持つことはできます。
ネガティブな点を見つけがちな性格であってもそこで、何かポジティブな側面、自分が成長できるかもしれない点を見つけられれば、むしろそれが自分の、ひいては会社の利益につながるかもしれないのです。
そういう点ではむしろ強みともいえるかもしれません。
職場の雰囲気もより良い雰囲気になるでしょうしね。
ここで会社が求めているのは、「外向性」ではないのが面白いところです。
6位 専門家気質
平均4.35点でした。
ビジネスライクで、身なりの良く、見た目や姿勢がよいという特徴です。
見た目は第一印象を大きく左右する大事な要素ですからね。
しかしこの点はすぐに変えられる要素かもしれません。
姿勢は結局日々意識し続けるのが最もよい方法で、一朝一夕にはいかないかもしれませんが、肌の状態とかは前日の食事の状況で大きく変わったりしますし、服装はいいやつを買えばいいだけですからね。
8位 柔軟性
平均4.18点でした。
適応能力、チャレンジすることを厭わない、生涯学び続ける姿勢、新しいものを受け入れる姿勢、よく教えを聞く姿勢などが含まれます。
たゆまぬ向上心みたいな感じですね。
新卒なんかだとまだまだ20年やそこらしか生きていないのに、すべてを学びきったみたいな、偉そうな態度をとられても困りますしね。
自分の無知、無力な点を認めて、どんどん学んでいく姿勢が重要ということです。
何気ない日常でも、アンテナを張り巡らせrて、もっと自分の人生を価値観を実現してくれるものはないかを探してみたりとかそういう態度が求められるのかもしれません。
変化の激しい今の時代に唯一のせいかいなんてないのが通常ですから学び続けるというのはどの業界でも重要なことでしょう。
9位 チームワーク
平均4.12点でした。
協力的で、人と足並みをそろえられ、乗り気で、進んで人助けをし、共同的、共創的な態度が含まれます。
どうしても人には得意不得意があって、人と協力することによって1+1が2以上になるということが少なくありません。
にもかかわらず、人とのかかわりが苦手だと、1+1が2にも満たないみたいな事態になりかねません。
別にコミュ障が必ずしも良くないというわけではありません。
必要なコミュニケーションをとれるように訓練したり、相手が声をかけやすいように工夫をしたりとかすれば問題ない場合も十分あるので、自分なりのチームワークスキルを磨いてみてください。
9位 仕事倫理
平均4.12点でした。
熱心に働き、働くことを厭わず、忠実で、能動的で、自発的で、時間を守り、欠勤率がひくいというような要素が含まれます。
要するに、前向きで、一生懸命であるというような感じです。これまでに挙げた9つの要素を満たしていれば自然と満たされる要素のようにも思います。
まとめ
ここまで長々と述べてきましたが、結構「当たり前じゃん!」と思うようなことが多かったのではないでしょうか。
重なっていると感じる要素も多くあった事と思います。
特に、やっぱり人間関係に関する要素が多かったように思います。
科学技術が発展して、一人で行える作業も増えてはいますが、完全に一人でできる仕事というのも限られてきます。
自分のクロノタイプとかに合わせて、自分が最大のパフォーマンスを発揮できる時間帯、場所で、責任感を持って仕事はしつつ、必要なところではしっかり人と関われる、というような人材が求められているのではないでしょうか。
来年は、今年より更なる不況が到来することはほぼ確実でしょうし、第3次就職氷河期は数年続くでしょう。
大企業ですら多く倒産していたり苦労する中で、未熟な新社員を多く迎えるのは会社にとってはそう簡単なことではありません。
そこで、就職したいという人は他の志望者との差を見せなければいけません。
その時、会社側がどんな人を欲しがっているのか、そのニーズを認識しておくことは非常に大事だと思います。
この社会状況ですと、即戦力になる社員を求める会社も多いでしょうが、この社会状況だからこそ伸びている会社もあります。
まあどんな会社を志望するにしても、大体の企業は同じような人材を欲しがっていることがわかったかと思います(上の平均点がどれも4点以上=80%以上だった)。
ってことで、専門的なハードスキルとは違って、日常生活の面で意識すれば十分伸ばせるスキルが多くあったと思いますので、参考にしてみてください。
それではまた。
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