スマホとSNSの発達によって、自撮りという概念が非常に一般的なものになっておりますが、そんな自撮りの弊害について考えてみたいと思います。
先行研究でも、自撮りと自尊心やボディイメージの低下との間の相関が示唆されていたりしますが、因果関係をはっきりさせようという趣旨の研究についてメモ。(R)
当研究では、110人の女子の学部生をランダムに以下の3つのグループに分けて、介入前後の気分とボディイメージを調べました。
- 自撮りしてそのままSNSにアップするグループ
- 自撮りしてすきに加工したり取り直したりしてからSNSにアップするグループ
- コントロール群
ってことで、すきに加工したりして満足のいく画像を投稿すれば、別に弊害はないのではないか?という予測をしたわけですね。
ちなみにコントロール群では、自撮りのグループと同じiPadを渡して短い記事を読んでもらったそう。
早速結果を見てみると以下のようになりました。
- 自撮りをしたグループはいずれも不安感の増加が確認されたが、加工をしたグループでは、しなかったグループに比べて不安感の増加の度合いは少なかった。
- また、自撮りをしたグループでは、いずれも自尊感情の低下が確認されたが、加工をしたグループでは、しなかったグループに比べてその低下の度合いは小さかった。
- 自撮りをしたグループでは、加工をしてもしなくても同じくらい身体的な魅力に対する感情の低下が確認された。
ってことで、自撮りによるメンタルへの悪影響については因果関係を認めてしまってよいのではないでしょうか。
この結果に対して研究チームは、以下のようにコメントしております。
これは、若い女性のソーシャルメディアへのセルフィ―の投稿の因果的な影響について調べた最初の実験である。(中略)この結果は、自撮りをし、投稿することによる心理状態が、自己認識や、他者からの評価に対する恐怖と関連していることを示唆している。
ってことで、ただ記録とかのために投稿するのではなくて、人からどう見られるか、のように「評価」を加えてしまうことによって、メンタルにネガティブな影響が及ぼされてしまうのではないかと考えられるわけです。
インスタグラムが最もメンタルに良くないSNSだといわれたりするのと関係があると考えられますね。
つまり、単なる情報のシェアという意味だけでなくて、他者がどんな素晴らしい日常を送っているのかという側面だけを見て、自分も他者から素敵だと評価されたいがために写真を投稿することによって、「自分がどう思うか、感じるか」を置いてけぼりにしてしまっているわけです。
それを続ければそれはメンタルにネガティブな影響が発生してしまうことも仕方がないでしょう。
ってことでまとめると、自撮りによる悪影響としての不安感や自尊感情については、手を加えることによってその影響を低減させることができるかもしれませんが、それでもやはり自撮り自体をしない場合と比較するとネガティブな影響が大きいといえるでしょうから、必要なとき以外は自撮りを投稿することは避けた方がいいかもしれません。
また、人の投稿を見て自分がどう感じているかを探ってみるだけでもSNSに対する考え方が変わるかもしれません。
さすれば、自然と自撮りを投稿する頻度も少なくなって、より健全なメンタルを獲得できるかもしれません。
参考になれば幸いです。それではまた。