近年、クロノタイプという言葉も普及してきて、自分の体に合ったリズムでの生活をしている人が多いように感じます。今回の新型コロナウイルスの影響もあって、リモートワーク、テレワークも一般的となり、時間に縛られずに自分のリズムで仕事や勉強がしやすくなってきています。一方、高校などは登校がスタートしており、以前までと同じような生活になっているところも多いと思います。
そこで、彼らのクロノタイプや、ソーシャル・ジェット・ラグ(social jet lag 平日と休日の睡眠リズムの違い)と、肥満、心血管代謝の関係を調べた研究についてメモ。
体のリズムと実際の生活のリズムのずれが大きな病にもつながりかねない健康障害への影響を調べたということです。
簡単にデザインをまとめると以下のようになっております。
- 対象:804人の男女(男子が386人、女子が418人)。平均年齢13.2歳(SD:0.9)。
- アンティグラフィー、睡眠に関する質問調査。
- クロノタイプとソーシャル・ジェット・ラグを測定。
- DXAスキャンまたは血液検査を行い体内の状態を検査。
その結果、男女で違いがみられました。
まずは女子から。レディファーストで。
- 夜型の女子は、そうでない女子に比べてウエストが平均0.58cm 太かった。
- 夜型の女子は、そうでない女子に比べてfat mass index が平均0.16kg/m2高かった。
- ソーシャル・ジェット・ラグが1時間あるごとに、ウエストが平均1.19cm太かった。
- ソーシャル・ジェット・ラグが1時間あるごとにfat mass index が平均0.45kg/m2高かった。
一方男子はというと、
- どれも相関がみられなかった。
と、いうことで、女子に限って、生活リズムのずれが、脂肪等の様々な指標と相関がみられたということです。
これに関して研究者はこのようにコメントしております。
この研究は、睡眠の長さと質に加えて、睡眠の好みや、タイミングが思春期の若者の脂肪、肥満と関係があることを示唆している。この発見は、夜型の人が増えてきて、平日に早く寝付くことに難しさを感じており、朝早くに起きて学校に行かなければならない若者にとっては特に重要なことであろう。
アメリカなんかでは肥満の率が近いうちに50%を超えるかもしれないとも言われていたりして、その原因の一端を担っているかもしれないのが学校の開始時間かもしれないというのはなんか面白いですね。
たしかに少し始業時間を遅らせただけで生徒の成績が向上したという報告もありますし、そもそも健康に生きていられないと学んだことも十分に社会に還元したりすることも困難になってしまいますしね。
私は土日とか平日とか関係なく生きておりますのであまりこの点については心配がいらないかもしれませんが、お子さんがいらっしゃる方や学校関係者の方とかは頭においておくといいかもしれません。
それでは、おやすみなさい。
references
- Elizabeth M Cespedes Feliciano et al. 2019. "Chronotype, Social Jet Lag, and Cardiometabolic Risk Factors in Early Adolescence"