フッ素と言えば、歯磨き粉を思い浮かべる人が多いと思います。
虫歯の予防に効果があることは結構前から知られていて、歯磨き粉売り場に行けばどのくらいのフッ素が入っているかを競っているかのように、「フッ素○○ppm配合!」って強調してあったりします。
そしてアメリカなどでは、水道水にフッ素が配合されていたりしますし、日本でもそんな話が上がったりした時期もありました。
しかし、フッ素にはいいところばかりではなくて、例えば、「脳の記憶や学習をつかさどる分野に蓄積するかも?」とか、「中枢神経系のたんぱく質や神経伝達物質に変化をもたらすかも」とかを示唆する研究があったりします。
子供に対象を絞ってみても、飲料水からのフッ素の摂取量と子供の知性やIQの低下との相関を示すメタ分析なんかがあったりしています。
もっとも、妊娠期間中のフッ化物への曝露が、出産された子供の知性に影響を及ぼすのか否かについては明らかではなく、その点について調べた研究についてメモ。(R)
当研究では、601人の親子が対象とされており、母親の妊娠期間中のフッ化物への曝露量と、子供が3,4歳になった時点でのIQのスコアが調べられました。
妊娠期間中の母親のフッ化物への曝露量については、尿中のフッ化物の濃度、飲料水のフッ化物の濃度等から調べたそう。
その主な結果は以下の通りになりました。
- 水道水からフッ素が出る地域に住む母親は、そうでない母親に比べて尿中のフッ化物濃度がかなり高かった。(0.69 [0.42] mg/L vs 0.40 [0.27] mg/L)
- また、フッ化物の摂取レベルも高かった。(0.93 [0.43] vs 0.30 [0.26] mg of fluoride per day)
- 男児については、母親の妊娠期間中のフッ化物摂取の量が1mg/L増えると、子供のIQスコアは平均して4.49ポイント下がったが、女児に関しては有意な差はみられなかった。
- 男児、女児合わせてみれば、妊娠期間中のフッ化物摂取量が1mg/L増えるごとに子供のIQスコアが3.66ポイント下がっていた。
ってことで、男児女児の差異についてははっきりしませんが、フッ化物摂取とIQスコアの低下との間には結構相関がみられたことがわかります。
もっとも、尿中の濃度が時間によって変化する可能性があること、母親の自己申告による項目があった事、地域間の差異などの制約はあるので、そこのところは注意が必要でしょう。
とはいえ、先行研究でも同様の結果を示唆するものがあったりしますし、妊娠期間中のフッ化物摂取の量は子供のIQスコアを低下させる原因になってしまう可能性は十分あるといえるでしょう。
ってことで、日本においてはそこまでのフッ化物を摂取する機会はないかもしれませんが、洗口液とか、サプリメントとかをとるときには少し注意しておくといいかもしれません。
参考になれば幸いです。それではまた。