最近ユーモア研究について調べる機会がありまして、「ユーモアと死亡リスク」の関係を調べた研究(R)が面白かったのでメモしておきます。
ユーモアは単に気分が明るくなる!といった効果以外にも、
- 人間関係が強化される
- 共感能力が高まる
- ストレスが和らぐ
- 異性にモテる
- ユーモアのあるリーダーの下で働くと生産性が高まる
- 対人関係も円滑に進む
- 病欠も減る
- 大学の教授がユーモアを活用すると学生の点数が15%もアップする
といった具合に、社会的、認知的、感情的な面でさまざまな面でのメリットが確認されているわけですが、「ユーモアのセンスが高いと寿命も延びるかもよ!」ってのはなかなか面白いポイントっすね。
ってことで、この研究ではノルウェー全体を代表する53,556人のサンプルを平均15年ほど追跡しております。ベースラインの時点で認知的、社会的、感情的なユーモアのスコアを測定したうえで、その後の死亡登録との比較を行ったらしい。
でもって、年齢、BMI、血圧、クレアチニン、教育レベル、運動習慣、喫煙習慣、社会的ネットワーク等を調整したところ、以下のような結果が出たんだそうな。
- 女性に限り、認知的なユーモアのスコアの高さは、総死亡リスクの低下と有意に関連していた(HR=0.52)。この関連は85歳時点でも維持されていた
- また、認知的なユーモアのスコアが高い女性はCVD(HR=0.27)、感染症による死亡リスクも低かった(HR=0.17)
- 一方認知的なユーモアのスコアが高い男性は、感染症による死亡リスクが低い傾向があった(HR=0.26)。逆に、感情的なユーモアのスコアが高い場合には、感染症による死亡リスクが高くなっていた
- ユーモアのセンスのスコアが最も低い場合には、男女とも死亡リスクが最も高かった
- 癌による死亡率とユーモアのスコアの間には関連が見られなかった。
って感じだったらしい。
ここでいう「認知的なユーモア」ってのは、「ユーモアを意図している表現を簡単に見抜くことができると思うか」といった質問にどれだけ同意するかで測定されてまして、「自分はユーモアに敏感に反応できる!」って自覚してる人ほど全体的に死亡リスクが低い傾向があったわけですね。
で、このような関係が見られた原因は結局「笑い」なんかなーとか思ってたら、
- 社会的相互作用における笑いの約85%はユーモアとは全く関係がない(R)
ってことが示されてるらしく、ユーモアのセンスが高い人は仮に笑いにつながらなかったとしても、認知的にうまくストレスに対処する能力が高いのかもよ!って可能性が指摘されててなるほどなーと思いました。
また、ユーモアのセンスとIgAレベルにも関連が確認されているそうで、感染症による死亡率との関連性にも納得感を感じられますねー。
ではまた―。