「超加工食品がやばい!」ってのは最近よく聞く話ですけど、「じゃあどうすれば消費者は健康的な食品を買ってくれるようになるのか?」というのは悩ましいところ。
そこで近年よく見るのが、上の画像のようなラベル。栄養成分を色分けして、多く含まれているものや健康に害がある成分は赤で、量が少なかったり健康な成分は緑で、みたいに表示されているのは誰でも一度は見たことがありましょう。
確かに食品パッケージの表面にこのようなラベルがあったら目には入りやすいですが、「それで本当に健康的な食品を購入するようになるの?」って議論に関して、これまでの結論はばらばらだったんですよ。
が、直近のメタ分析(R)ではそこんところを徹底的に調べてくれておりまして、面白かったです。
栄養成分の色分け表示に意味あるの?問題
これはロンドン大学クリーン・メアリー校の研究で、視覚的に目を引く栄養スコア等のラベルが購買行動にどう影響するのか?ってのを調べた過去の研究から134件をピックアップして、メタ分析を実施。
その結果として、まず大きな結論を確認してみると、
- 上の画像のように色分けして栄養スコアを表示すれば、より健康的な食品・飲料を買うようになる!
- 「【注意】砂糖入りの飲み物は肥満、糖尿病につながります」みたいな注意書きは、不健康な食品の回避を促す!
って感じで、種類を問わず、あらゆる表示方式が健康的な購買行動につながったんだそう。
さらにちょっと詳しくその内容を見てみると、
- 色分けされた表示は、51%程度高い確率で食品による健康への寄与を考えるようになり、注意書きのラベルは、食品がもたらす不健康に対する意識を20%程度高めた
- これらの表示によって、13%程度少ないカロリーの食品を選択するようになった
- 成分別にみると、塩分、脂肪、飽和脂肪酸が少ない食品を選ぶ確率が高くなった
だったそう。表示の仕方によってそれぞれ効果に大小はあるものの、全体的に健康的な食品を選択し、不健康な食品を選ばないという判断につながって、結果的に栄養の質が上がるよーって感じですね。
目に入りやすく、直感的な表示をすることによって、誘惑に流されずに一歩立ち止まって、健康に対して注意を払う余裕を与えてくれるわけっすな。
目立つラベルがいいとは必ずしも言い切れない!
まあでもこの研究にも限界はいくつかありまして、
- 購買行動と実際に食べた量がどのくらい相関しているかはわからない(健康的な食品を買って、家で塩をかけまくるかもしれない)
- ラボ実験のものが多く、現実の生活でどこまであてはめられるかはわからない
- 効果がいつまで継続するかはわからない(慣れてくればラベルを気にしなくなるかも)
- RCTのものが多いとはいえ、バイアスのリスクはなお高い
- 「塩分」「脂肪」のような不健康な成分の回避にはつながっても、「食物繊維」「タンパク質」みたいに好ましい成分の表示が積極的な購買行動にどのくらいつながるかはわからん
って感じで、まだまだ謎な点は多いわけなんですけど、食品業界に携わる方がいれば、参考にしてみるといいかもしれません。
食品を選ぶ基準はどうすればいい?
まあ私のような単なる消費者としては、栄養成分の色分けやどでかい注意書きのラベルが貼ってある商品を見たら、「この表示は自分の身体に食品が与える影響を考えるチャンスをくれている!」「もっと別の商品のほうがいいんじゃないのか?」って考えるトリガーにしてみるってのはありかもしれませんね。
ちなみに、超加工食品の具体的な健康リスクについてはこちら、簡単な見分け方やざっくりしたガイドラインはこちらのエントリで解説してますんで、気になる方は確認してみてくださいませー。
参考になれば幸いです。質問やコメントなどありましたらTwitterなどでご連絡いただけると嬉しいです。
それではっ!