ストレスまみれの現代において「いかにしてストレスに対処するか?」ってのは非常に重大な問題で、実際ハーブティーを飲むやらヨガをするやらドライブに行くやらいろんな方法が提案されているわけです。
しかし大体の手法に効果があるのは介入の直後だけで、1か月もたてばその効果はなくなっていることが多いでしょう。そんな中でテキサス大学がスタンフォード大学やGoogle Empathy Labなどと手を組んで行った最近の研究(R)では、「30分のオンラインクラスを1回受けるだけで半年後の不安やストレスまで下がり、学校の成績まで上がってたぞー」って結果になってて非常に有用でした。ストレス戦略においてここまで費用対効果の高い方法はなかなかないんで、やるっきゃないっすよね。
ということで、ここでは研究チームが作ったオンラインコースを使って、4,000人以上の学生を対象にした6つの無作為化比較試験を行ってます。で、気になる講座の内容はというと、以下の2つのアイデアをコアとしたシンプルなものとなってます。
- 成長マインドセット:困難はコントロールすることができ、人は努力によって能力を磨くことができるのだ!っていう考え方。運動で筋肉が強化されるように、トラブルは能力開発のための重要なプロセスとして働くのだと伝えた
- リフレーミング:ストレスは、私たちの体がチャレンジするための手段として働いているんだ!心臓のどきどきは脳や筋肉に多くの酸素を贈っている証拠だ!適度なストレスがあった方がパフォーマンス、健康、ウェルビーイングが高まるのだ!と解釈を変える方法
本noteをお読みの方ならどちらもおなじみの手法でしょうが、要するにストレスってのは必ずしも悪い物じゃなくて、前向きにとらえる価値のある重要なものなんだぜ!っていう考え方を伝授したわけっすね。これら2つの手法は重なる部分も少なくないですが、同時に学ぶことで相乗的な効果を得られるんじゃね?って考えて設計したらしい。
さらにこのオンラインセッションではただこの2つのアイデアを教えるだけでなく、現在と未来の特定の状況でどのように活用できるか?ってのを実際に想像してもらうというところまでやってまして、おそらくこの部分が案外重要な影響をもたらしているんだろうなーって感じました。
で、このクラスを受けた人を数か月後に改めて調査したところ、以下のようなことがわかりました。
- 脳に関する別のコースを受けた人に比べて9か月後の試験に合格する確率が14%高かった
- また、約半年後の不安のレベルが低かった
- 人前で自分の長所や短所を話すというストレスのかかる課題に取り組んでも、心拍数の上昇、コルチゾールなどストレスに関する生理的な指標が低い傾向にあった
ってことで、対症療法的な戦略とは違って、成長マインドセットとリフレーミングというもっと抽象度の高い「考え方」を学ぶことによって根本的なストレス耐性が高まり、その効果は少なくとも数か月は続くみたい。
研究チームは、「このアプローチはトラウマによるストレス対処法には適さないだろうが、多くの人がこの方法で恩恵を受けられるだろう」と指摘してまして、やるっきゃないって感じですな。
さらに研究チーム曰く、
若者は困難な課題を克服するにはあまりに脆弱であると教えるのではなく、大きな問題に取り組むために必要なスキルと創造性を発揮するためのリソースとガイダンスを提供するべきだろう。
とコメントされてまして、何とも勇気づけられるお言葉でした。
ちなみに、本研究では介入による悪影響も特段確認されなかったそう。そんなわけで少し時間をとって「成長マインドセット」と「リフレーミング」を学ぶことはストレス社会を生き抜く上で強力な武器になるのではないかと。
私ももう一回学んどこう、、
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