新しい恋愛を始めると感情面だけでなく、身体の反応や脳の活動パターンにまで変化が生じるというのはよくわかる話でしょう。中でも、生理的な変化に限れば、新しくパートナーを見つけた人とそうでない人との間では、「心拍変動」に違いあることが知られているんですよ。
「心拍変動」ってのは、心拍の時間的な間隔がどのくらい変化するか?って話で、これが高い人と、
- ストレスとか環境的なキューに柔軟に対応できる
- さらに、心拍が乱れてもすぐにベースラインに戻すこともできる
- 結果、メンタルは安定し、感情コントロールや人間関係もうまくなる!
とか考えられているんですよね。となると心拍変動の高い人ほど恋人もできやすいというのは想像しやすいでしょう。
実際、最近パートナーができた人はベースラインの心拍変動が高い傾向があるってのは以前から確認されていたんですけど、「それってどっちが原因でどっちが結果なの?」ってのはよくわかっていなかったんですよ。というのも、心拍変動が高いとメンタルも安定して恋人ができやすいのか、逆に恋人ができてストレスに対するバッファーができるおかげで心拍変動も高くなるのか、と。
「運命の相手は頭ではなく心で決めるもの!」は意外と正しいのかも?
でもって、レイクヘッド大学の研究(R)では、そこのところを調べてくれておりまして、以下のような縦断的な実験を行ったんだそう。
- 現在恋人のいないヘテロな女子大学生83人に協力を依頼する
- 全員には、ポジティブ、ネガティブ、ニュートラルといった異なる感情を刺激するような4分45秒のビデオを4つ見てもらい、その際の心拍変動を測定する
- 1回目の実験が終わった後、①彼氏ができて10日以上経過した、②6か月たっても恋人ができなかったのいずれかの条件を満たしたら実験室に戻ってきてもらい、再びビデオクリップを見ているときの心拍変動をチェック
みたいになってます。心拍変動が高い人ほど恋人ができる確率が高いのか、それとも恋人ができたら心拍変動の値も高くなるのか、ってわけですね。
でもって、全員のBMIや自尊心、愛着スタイルなんかも調べたところ、以下のようなことがわかりました。
- フォローアップの時点で恋人ができた人とできなかった人とで心拍変動に有意な違いはなかった
- また、期間中に恋人ができようと心拍変動が高くなるという証拠も得られなかった
- しかし、心拍変動の反応性に関しては、BMIや安静時心拍変動を調整しても恋人ができる確率と有意に関連していた
- BMIが高い女性は概して恋人ができる確率が高かったが、それは心拍変動の反応性が低い人にのみ当てはまり、BMIが高い女性は心拍変動の反応性が高い人ほど恋人ができる確率が高かった
- 安静時心拍変動が高い人の場合、心拍変動反応性が高い人に比べ(8%)、心拍変動反応性が低いと恋人ができる確率が高かった(71%)
みたいになります。心拍変動は恋愛がスタートしても特に変わるわけではないし、むしろどんな刺激的な環境でも高い心拍変動を維持できる人ほど恋人ができる可能性が高まるんだ、と。BMIの値によって交配戦略が変わってきそうってのも面白いポイントっすね。
まあでもこの研究にも限界は多くて、
- ドロップアウト率が高い
- 月経周期を考慮していない(月経周期は心拍変動に影響を及ぼす)
- 長期的な恋愛関係や関係の満足度にはどんな影響を及ぼすかは不明
ってところは注意が必要でしょうな。
とはいえ、「痩せている人ほどモテる!」ってのは分かりやすいものの、それと同様に「いつも心拍変動が高くて反応性は低い人ほどモテる!」というのは結構意外な話かもしれないですな。
運命の相手を決めるのは頭ではなく心だ!ってのもあながち間違っていないのかもしれません。
参考になれば幸いです。それではまたー。