「砂糖入りの飲み物を飲んでると,若いうちに大腸がんにかかりやすくなるかもよ!」みたいな研究(R)についてメモ.
この研究は,先日Twitterでもさらっと紹介しましたね.
ご存じの通り,砂糖がいっぱい入った飲み物の消費量は80~90年代にかけて急増したわけですが,ここ20年くらいで若い世代の大腸がん患者もまた増えていて,研究チームは両者になんか関係あるんじゃない?ってのを調べたわけです.
具体的には,ここ数年で,1950年くらいの生まれの人よりも,1990年前後の生まれの人の直腸がんのリスクは4倍とかになっていたりするらしい.これは結構重大な問題でしょうな.
ここ数年で砂糖入りドリンクの消費量は多少減ってはいますが,欲しいと思えばいつでも手の届く状況ですし,ちょっと気にしといたほうがいいかもしれませんな.
砂糖入りドリンクで早期の大腸がんリスクが増加する?
これはハーバード公衆衛生大学院等のコホート研究で,調査の概要はこんな感じ.
- 25歳から42歳の女性94,464人の砂糖入りドリンク等の食事データを約24年分集める
- そのうち,41,272人分の13~18歳の時の種類別の飲料の摂取量もチェック
- 大腸がんのリスクとの関係を分析
ここでいう「砂糖入りドリンク」ってのは,ソフトドリンクやフルーツジュース,エナジードリンク,スポーツドリンク,砂糖入りのお茶なんかが含まれたそう.さらに,調査では砂糖入りドリンクをコーヒーや牛乳等に置き換えたときのリスクの違いも分析しておられました.
その結果はというと,調査期間中に109件の大腸がんの診断が記録されまして,BMIやアルコール摂取量,喫煙習慣,運動習慣等を調整したらこんなことがわかりました.
- 全体的には,成人してから砂糖入りドリンクを週に2サービング以上飲む人は,1サービング以下の人よりも大腸がんリスクが118%(10-335%)高く,さらに1サービング増えるごとにそのリスクは16%上昇していた
- もっとも,ローカロリーの炭酸飲料やフルーツジュースと大腸がんリスクとの間には有意な相関は見られなかった
- 13~18歳の時期に飲んでいた砂糖入りドリンクの量が1サービング増えると,大腸がんリスクが32%高くなっていた
- 砂糖入りドリンクの摂取量を1サービング分コーヒーに置き換えると,大腸がんリスクは18%減少,牛乳に置き換えると約35%減少していた
だったそう.要するに,体重とか運動とかの変数とは独立して「どのくらい砂糖入りの飲み物を飲むか?」によって若い人の大腸がんのリスクが2倍以上変わってくるかもよってわけっすね.
まあ,サンプル数が少ない上に絶対リスクは低めで,実際この調査の結果でもばらつきが非常に大きくなっております.なんで,リスクの数値に関してはこれから大きく前後する可能性は十分あります.とはいえ,砂糖入りドリンクで心血管疾患のリスクが高まる!みたいなデータは多いんで,積極的に取るのはやはりおすすめしません.
砂糖入りドリンクで大腸がんリスクが高まるメカニズムはこの研究からはわかりませんが,
- 体重やグルコース濃度が上がっちゃってインスリン抵抗性の向上や腸内の炎症の増加につながるから?
みたいなことが考えられていました.
ちなみに,コーヒーに砂糖を入れた場合に関するデータはありませんで,そこのところも気になりました.
まとめ
研究チーム曰く,
砂糖入り飲料の健康への確固たる,有害な影響と,思春期の子供や50歳以下の若い大人における高い消費量を鑑みれば,我々の発見はよりよい健康を導くために砂糖入り飲料の摂取量を制限することの公衆衛生上の重要性をより強調している.
とのこと.砂糖入りドリンクによる糖尿病とか心血管疾患の関係性は示唆されてきたけど,さらに新たな健康被害の可能性が浮き上がったんだ,と.
本当に砂糖自体が問題なのか?って疑問もありまして,どうしても砂糖入りのドリンクって摂取カロリーが増えがちなんで,それが原因となっている可能性もあります.
てなわけで,まとめると,
- 砂糖入りのドリンクは完全に断つ必要はないけど,カロリーには気を付けてそこそこにね!
って感じでしょうかねー.少なくとも飲み過ぎには注意が必要でしょう.
参考になれば幸いです.質問やコメントなどありましたらTwitterやお問い合わせのページからご連絡いただけると嬉しいです.
それではっ!