テクノロジーの発達が著しい現代,勉強との関係においてテクノロジーは諸刃の剣と言えるんじゃないでしょうか.ANKIみたいなテクノロジーを駆使して効率よく知識をつけることもできる一方で,勉強中にスマホにしょっちゅう意識がそれてしまっていたら十分に頭に入らないですから付き合い方次第って感じですよね.
で,新たなデータ(R)では,「VRで学習効率が上がるかもよ!」みたいに報告されておりました.VRがゲームとかの没入感をあげてくれたりするだけでなく,勉強にもいい影響を与えてくれるというわけですな.
実験の参加者はオーストラリアの高校生と,インドの大学生で,トータル79名.参加者全員には以下の2つの方法のいずれかでオーストラリアの第二次世界大戦の歴史の勉強をしてもらいました.
- VR(Kokoda VRってのを使ったらしい)
- 360度見えるビデオ
で,全員に対して,
- どのくらい内容に引き込まれたか
- 実際にそこにいる感じがどのくらいしたか
- どのくらい感情移入したか
- 知識がどのくらいついたか
みたいなところを計測して,内容への没入感と,知識の定着度合いをチェックしたそうな.
要するに,トピックについてそれなりに前提知識のある場合と,ない場合とでそれぞれVRがビデオに比べてどのくらい学習に効果があるかを調べたわけですね.
すると,VRはビデオの比較して高校生,大学生ともに以下のような効果がみられまして,
- 全体的に没入感が高かった.
- 知識の定着を確認するテストの成績が高かった.
って感じだったそう.VRのほうが没入感が高いのはまあ当然として,知識がより整理されて頭に残ったみたい.
ちなみに予備知識のある高校生と初見の大学生を比較したところ,
- 没入感への影響は大学生のほうが大きかった.
- テストの成績への影響は高校生のほうが大きかった.
どちらもいい影響はみられたものの,その度合いに差異がみられたらしい.その原因がただ年齢によるものなのか,それとも予備知識の有無によるものなのか,はたまた別の理由なのか,その辺ははっきりしませんが.
研究チーム曰く,
この実験のスコアは,没入型のバーチャルリアリティー環境での学習は,現在の単純な語りの形式での学習の良い代替案になりうることを示唆している.VRは高価ではあるが,これは高校生,大学生の学習において認知的,感情的によりよい効果をもたらしてくれるかもしれない.
とのこと.まあ小規模な実験ですし,歴史以外のその他の科目とかにはどのくらい応用が利くかは謎です.歴史は大河ドラマみたいにしやすいけど,数学とか抽象的なトピックはなかなかその世界に没入するみたいなことは容易ではなさそうですからね.
そもそもVRで学習するための教材が不十分ではあるので現時点ではそこまで現実的とは言えないかもしれませんが,可能な限りで試してみるのありでしょう.
また,娯楽で動画等を見たりするときにもVRのほうがより刺激を受けられたりしていいのかもしれませんね.
参考になれば幸いです.質問やコメントなどありましたらTwitterなどでご連絡いただけると嬉しいです.
それではっ!
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