明日はバレンタイン!ですが,チョコをあげる人,もらう人,自分で買う人,そんなの無視して仕事に打ち込む人など,さまざまかと思います.
チョコと言えばダークチョコレートがいろいろ優秀!という話が有名です.例えば,
- 脳全体の活動が活発化し,脳の健康レベルがアップする!
- しわ予防にもつながるかも!
- 血管の機能が向上するかも!
みたいなのがあります.ダークチョコレートに含まれるフラボノイドがいい仕事をしてくれるんですよね.
でもって,テヘラン大学の研究(R)では,「ダークチョコレートやフラボノイドで血管が元気になる!」という結論になっていて非常によろしいかと思います.血管が健康になれば,心疾患のリスクが減ったりいろいろとありがたいメリットが満載ですから,実にナイスな話かと思います.
これは,過去のチョコレートやフラボノイド研究から23件をまとめたものとなっておりまして,合計794人分のデータを使ったメタ分析となっております.できればもう少しサンプルがあるとうれしかった気もしますが十分参考にはなると思います.
まず,データの内容を簡単に見ておくと,
- 17件の研究が,合計615人分のダークチョコレートと,FMDの関係を調べたもの.
- 6件の研究が,合計179人分のフラボノイドとFMDの関係を調べたもの.
- 対象者の年齢は,21歳から69歳.
- 15件の研究が,介入期間が2日から84日に設定されて比較的長期,一方,8件が,介入期間が60分から120分に設定されていて即効的な効果を調べたもの.
- フラボノイドの調査には,ココアドリンクやココアパウダー,チョコレート,チョコレートミルク等が使われた.
って感じになっています.ちなみにFMDというのは,(最大拡張幅)/(安静時血管径)によって計算される値で,駆血後に,一酸化窒素が内皮細胞からどれだけ産生され,どれだけ血液が拡張したかを示す値です.
では,結果を見ていきましょうー.
- 比較的長期のグループでは,ダークチョコレート,フラボノイドを摂取するとFMDの改善にポジティブな効果がみられた(それぞれ,0.69%, 95% CI 0.22–1.16, p = 0.004,1.16%, 95% CI 0.52–1.8, p = 0.001)).
- 即時的なグループでも同様に,FMDの値が向上した(ダークチョコレート,フラボノイドの順に,0.41%, 95% CI 0.12–0.70, p = 0.006, 1.12%, 95% CI 0.72–1.53, p < 0.001).
- フラボノイドの摂取量とFMDの向上には線形の関係は見られず,1日40g以上の摂取でFMDが向上し,40~60g程度でメリットが最大化する.
- ダークチョコレートもFMDの向上とは非線形の関係で,1日20g以上の摂取でFMDが向上する.
という感じになっております.1%とかいうと効果が小さいと思うかもしれませんが,一般的な検査では,FMD値が6%以上で正常値とされ,5%未満では血管内皮障害なんかが疑われることを考えれば結構大きい違いになることがわかるかと思います.
適量のダークチョコレートやフラボノイドの摂取で1,2時間後にはFMDが向上するというのはうれしいポイントではないでしょうか.もっとも,一番の向上がみられたのは,一日20g以上のダークチョコレートを1か月以上摂取した場合となっていて,継続すればさらに血管が若返る可能性があるというわけですな.
この結果に対して研究チームいわく,
この結果は,チョコレートやフラボノイドの摂取がFMDをかなり向上させ,チョコレートやフラボノイドの摂取と,心血管系のリスクの低減との間に因果関係があることを示す機械的証拠を提示している.
としていて,やっぱりダークチョコレートやフラボノイドはすごいなーと思うわけです.
もっとも,フラボノイドの実験では,摂取したものがバラバラだったり,ダークチョコレートの定義が定まっていない実験が含まれていた点については注意が必要かと思います.
この研究を踏まえると,大体板チョコが80~100グラムくらいなので,一日板チョコ4分の1くらい,週に1,2枚を目安に食べていただくとよろしいのではないかなと思います.美容系の研究なんかではもう少し多く食べていたりするので,ダークチョコレートの質には注意したうえで,もう少し増やしてみると,肌の状態とかに改善がみられるかもしれません.
ダークチョコレートの種類に関してはカカオが70%以上(できれば80%以上)のものであれば,基本的に何でも大丈夫なので,近所のスーパーのものでもちょっと高級なやつでもなんでもいいかと思います.
一応以下におすすめをあげておきます.
それでは,良きバレンタインを.
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