「Instagramを使っても別に抑うつとか,不安にはつながらないんじゃない?」みたいなデータ(R)が出ておりました.
先行研究では,インスタを含めてSNSが,メンタルヘルスに悪影響を及ぼす!ってデータが多く出ていて,例えば,
- 抑うつや不安の症状の増加
- 自尊感情の低下
- ボディイメージの低下
- 摂食障害につながる
みたいなことが知られています.
これは大体,他人の幸せな経験とか,楽しかったことを綴った投稿を見て,「自分の人生はなんて退屈なんだろう…」みたいに,他人と自分を比較してしまうことによって,自信はなくなり,メンタルも落ち込んでしまう,そしてそれを癒すためにさらに利用を続けて,また落ち込んで,という悪循環になっていることが原因と考えられていたりするんですよね.
で,今回の研究では,Instagramの利用とメンタルの症状に加えて,携帯依存症との関係も調べられていました.これはインスタと携帯依存との関係について調べた最初の研究なんだそう.
これは,インスタのユーザーである男女305人を対象に,以下の2つの調査が行われました.ちなみに対象は,平均年齢は23.61歳,女性が82.2%だったそう.
- 1つ目は,2018年11月から12月までの1か月間,参加者にオンライン調査に回答してもらう.内容は,インスタやスマホの利用状況,抑うつや不安の症状に関してのもの.
- 2つ目は,客観的な参加者のインスタの利用データの調査.具体的には,インスタのアプリを使った回数とインスタのスクリーンタイム.
では,いかに結果を簡単に示します.
- インスタの利用頻度と抑うつ,不安症状との間に相関は見られなかった.
- インスタの高い利用頻度は,携帯依存症には寄与するかもしれない.(もっとも,たとえ携帯依存に関係しているとしてもインスタの利用がメンタルと携帯依存との関係を説明できるわけじゃない)
- 性差,年齢によって有意な差はなかった.
というわけで,先行研究とは打って変わって,インスタの利用頻度とネガティブな精神的な変数との間には関係がみられなかったらしい.
これに関して研究チームは,
一つ考えられる理由として,Instagramの利用頻度と精神病理的な変数は直接関係はないのかもしれない,または効果量が小さいのかもしれない.
(中略)
もしかしたら,賞賛に対する欲求や,セルフプロモーション,社会的なつながりや創造性等,ほかの重要なファクターがあって,それがデジタルデバイスの積極的な利用において重要な役割を果たしているのかもしれない.
とコメントしております.
もちろん日本でも同じ結果が確認されるかはわかりませんし,そもそも他の年齢や男性にも同様に確認されるかはわかりません.横断研究である点や,サンプルサイズの規模の問題もありますし.
もっとも日本人は比較癖が強かったり,周りに影響を強く受けやすいので,インスタを使ってもメンタルに悪影響はないとなれば喜ばしいですが.
どっちにしろ,他人との比較癖は人生大きく損しますから,SNSを使うときは特に,そこのところは気を付けたいとこですね.最近では新しいSNSがはやっているみたいですし.
参考になれば幸いです.それではまた.
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