学習

オーディオブック vs. 映画の没入感、物語を聞いているときの脳の活動の話。

最近では、オーディオブックが結構普及してきて、活字を目で追うのがちょっと苦手で、読了できない…という人もこれなら本を読み切れる!という声が増えてきているそうです。

そんなオーディオブック関連しそうな2つの研究についてメモ。

まずご紹介するのは、Audible UKをスポンサーとするUCLの研究。(R)

109人の男女を対象にして、オーディオブックを使って物語を聞いた場合と、映画を見た場合の、反応の違いについて調べられました。

要するに、耳だけからストーリーに触れた場合と、ビジュアル付きで、ストーリーに触れた場合の反応の違いについて調べられたわけですね。

その結果を簡単にまとめると以下のようになりました。

  • 参加者の自己申告では、映画を見た方がオーディオブックの場合よりも没入感が高かったと答えた。
  • もっとも、心拍数の上昇、皮膚電位の上昇、体温の上昇といった身体的な反応についてはオーディオブックのほうが強く確認された。

この結果に対して研究チームは、

私たちは、耳から触れる物語は、認知的、感情的により人を引き付けるという身体的なエビデンスを発見したと考える。これはたぶん、物語を聞く方が、ビデオを見るよりも共創のプロセスが活発に働くことが原因だと考えられる。

とコメントされております。

たしかに耳だけからの情報だと、個々人がこれまでの経験とか、知識を使って、自分の頭の中で物語を想像して、多種多様な世界を描き出しそうな気はします。

それによって人間はより物語に引き込まれていくと考えているというわけですな。

例えば、「ビルの前に立つスタイルの良いある美女が―」とか言う描写でも、人によって想像する美女の顔や身長とかはまちまちでしょうし、ビルの高さも千差万別でしょうからね。もはや同じ人でさえ、時と場合によって、想像する美女やビルは変わってくるでしょう。


次に、脳科学の方面から、物語を聞いた場合の脳の活動ついてfMRIを使って調べた研究について(R)。

実験では、16人の女性を対象に、8分間の物語を聞いてもらいました。

その結果、

  • 一般に、被験者の脳は、言語をつかさどる分野だけでなく、物や出来事の心的イメージを形成する能力に関連する分野も活発化していた。

ということがわかりました。

ってことで、やはり、オーディオブックを使って本を聞くことで、より想像力を働かせて、読み進めることができるかもしれません。


こうやってみると、小説とか、物語系の本については、オーディオブックを利用すると、より本を楽しめるかもしれません。

もっとも、リーディングとリスニングの議論は今なお進行中で、明らかではない面が多くあります。

ということで、議論の進展は今後も楽しみにしておくことにしますが、今回紹介した内容も、少しでも参考になれば幸いです。

それではまた。

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