何かやらかしてしまったとき、失敗したときなど、人に謝らなくてはいけない場面や、怒らせてしまって、許してもらいたい場面というのは誰にでもあると思います。
しかし、うまく謝らないとむしろ関係を悪化させてしまうこともあるでしょう。
そんな中で、許しを乞うときにユーモアを用いて謝る人は少なくないでしょうが、その中で、許しをもらえる人と、逆にさらに怒らせてしまう人がいます。
その違いは何なのかを考えてみたいと思います。
Black Hawk Collegeの研究では、ユーモアと許しの関係について調べてくれております。(R)
当研究では、先行研究をもとにして、「自分を高めるようなユーモア」を使うことで、許しをもらえる確率が高まるとの予測の下で行われました。
112人の大学生を対象にして、いくつかのスタイルのユーモアを見せた上で、その人を許そうと思うかどうかについて調査しました。
ユーモアのスタイルってのは、例えば、
- 「俺は親しい友達と一緒によくジョークを言ったり、笑ったりするぜ!」
- 「僕は落ち込んだときには、ユーモアを使って自分自身を励ますことがよくあるんだ!」
- 「私は誰かが気に入らないとき、ユーモアを使ってその人を懲らしめたりするよ」
- 「自分は大事な家族や友人のことを笑われたときには、自分の気持ちを押さえつけようとするだろう」
みたいな感じのものです。
その結果、自分の気持ちを高めようとするようなユーモアの使い方をした人(上でいうと②)に対しては、許しの程度が高く評価されておりました。
つまり、単純に「許してあげたい」という気持ちが高くみられていたり、「自分の怒りの気持ちを押さえられそう」というような項目の点数が高かったということです。
一方で、攻撃的、自己卑下的なユーモア(上でいうと③と④)に対しては、許しのスコアとの間でネガティブな相関がみられ、協力的なユーモア(上の①)との間では特に相関がみられませんでした。
ってことで、許しを乞うときには、攻撃的な態度や言動はもちろんのこと、自分がへりくだりすぎるのもよくないということがわかります。
できれば、相手を下げることも自分を下げることもなく、そのうえで自分が頑張ろうとしているという気持ちや態度を表現することによって、相手からの許しを得ることができるかもしれません。
それが一番相手からの共感を得られやすいというのが要因として考えられましょう。
謝る状況はそう多くはないかもしれませんが、中立的な状況においても、相手が自分に対して感情移入しやすいような環境を構築することは、良好な関係を築き、維持するために重要なものと言えるでしょうから、本研究も応用の余地は多くありそうです。
参考になれば幸いです。それではまた。