世の中にはいろんな食事法がありますけど、たまに耳にするのが「北欧食」であります。こいつはデンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、グリーンランドといった北欧の国々で生産される食材をベースにした食事法で、特にNCDs(がんや糖尿病など)に結構効くのでは?って考えられてるんですよ。
まあ別に他の食事法と違って厳しい制限があるわけではないんですけど、まず北欧食の三大栄養素のバランスはこんな感じです(R)。
- 炭水化物:総カロリーの50~60%。1日当たり食物繊維を25~35g摂取し、精製糖は総カロリーの10%以下に抑えるべき
- 脂質:総カロリーの25~35%。飽和脂肪とトランス脂肪の摂取量は総カロリーの10%以下に抑えて、シス一価不飽和脂肪酸を10~15%、多価不飽和脂肪酸を5~10%、オメガ3系脂肪酸を1%摂取する。
- たんぱく質:総カロリーの10~20%。できれば15%以上を目指すのが望ましい。
また、具体的な食材としては以下のようなところを中心に選びます。
- エンドウ豆など豆類
- キャベツ、玉ねぎ、根菜などの野菜
- リンゴ、ベリーなどの果物
- ナッツや種子類
- 全粒のライ麦、オート麦
- 魚介類
- 菜種、ヒマワリ、アマニなどの植物性油
- 低脂肪の乳製品
パッと見ただけでもなかなか体によさそうな脂肪酸、ミネラル、ビタミンが含まれてるのがお判りいただけるでしょう。ちなみに一般的な北欧食のガイドラインでは肉類の摂取はなるべく減らすように推奨されてます。
で、気になるのがその効果ですが、現時点でわかっているデータの中で主だったものをまとめておくと、以下のようになります。
- 太めの男女147人を対象にした研究(R)では、26週間の北欧食で体重減少と血圧低下の効果を得ることに成功した。平均して、体重が4.7kg減少し、収縮期血圧が5.1mmHg、拡張期血圧が3.2mmHg低下した
- 86人の男女を対象に行われた研究(R)では、高コレステロール血症患者において、血中脂質プロファイルとインスリン感受性を改善し、臨床的に適切なレベルで血圧を低下させることが確認された。具体的には、6週間で血漿コレステロール-16%、LDLコレステロール-21%、HDLコレステロール-5%、LDL/HDL-14%、アポB/アポA1-1%
- 合計2300人以上のデンマーク人を対象にした観察研究(R)では、北欧食スコアが最高レベルの人は最低レベルの人に比べて心筋梗塞のリスクが23~45%も低かった
- 57,000人のデンマーク人を対象にした前向きコホート研究(R)では、北欧食スコアの高い人は2型糖尿病発症リスクが25~38%低かった
- さらに、50~64歳のデンマーク人を対象にした別の研究(R)では、北欧食スコアが死亡率の低下とも関連することが確認された。特にこの効果は、男性で顕著で、全粒ライ麦パンの寄与が大きいようであったと報告されている
要するに、北欧食を続けてると心臓の病気や2型糖尿病、高血圧、高コレステロールなどのリスクを減らせるっぽいぞ、と。しかも大体の研究ではこれらの効果が体重減少とは無関係に確認されたと報告してまして、なかなか体重が減らない!って方にも嬉しい話っすね。
まあ現時点ではなんでこんな効果が得られるのかははっきりしないところもあるんですけど、大きな要因としては「油」の影響が考えられております。というのも、グルコース代謝、リポたんぱく質、トリグリセリド、炎症などのスコアが脂肪代謝物の違いと大きく相関することが確認されてたりするんですよね(R)。
そんなわけで、今はまだ完璧に北欧食にならうべき!と強く勧められる段階ではないですけど、とりあえず油選びには細心の注意を払おうってのはマストでしょうねー(北欧食を参考にするなら魚、アマニ、ヒマワリからどうぞ)。