「メイクで女性の魅力度が高くなるぞ!」みたいな研究はいろいろあるんですけども、意外となかったのが、「プロのメイクとセルフメイクの違い」っていうポイントを調べたもの。大体の化粧の研究ではプロの人がメイクを施してくれて、それをすっぴんの場合と比較するケースが多いわけっすね。
その点で新しいデータ(R)は、「セルフメイクとプロのメイクで魅力度や女性らしさ、ナチュラルさとかの印象に違いがあるの?」みたいな問題を調べてくれていて参考になりました。
普通の人は、普段は自分で化粧をすることのほうが圧倒的に多いでしょうが、それってプロのメイクが人に与える印象と違うの?ってわけ。これは「メイクアップアーティスト」とか名乗っている人にとっても重大な問題になりそうであります。
実験1:魅力、化粧の量、ナチュラルさ
これはフランクリン&マーシャルカレッジなどの実験で、29歳から45歳の22人の女性に対してそれぞれ以下の3つの顔写真を撮影しました。
- すっぴん
- 自分でメイクした顔
- プロのメイクアップアーティストがメイクした顔
そのうえで、143人の男女にこれらの写真を複数見せて、
- どのくらい魅力的か?
- どのくらいメイクされた顔に見えるか?
- どのくらいナチュラルか?
といったポイントを7点満点で採点してもらったんだそうな。
ちなみに、プロのメイクアップアーティストはその経験が平均13年間もあるなかなかのベテランだったらしい。
メイクには、それぞれが自分で持ち込んだ化粧品や道具を使ってもらって、どちらも制限時間は20分とされたみたい。特定のブランドとかによって印象が左右されたりしないようにしたわけっすね。
それで、どんな結果になったかと言いますと、
- まず、セルフメイクでは20分の時間制限を悠々守れていたが、プロのメイクではほとんどの場合で20分ぎりぎりまでかかった
- セルフメイクの場合も、プロのメイクの場合も、すっぴんよりは高く魅力的と採点された(t=11.47, 13.35)
- セルフメイクよりもプロのメイクのほうが高く魅力的と採点された(t=6.16)
- プロのメイクはセルフメイクより化粧の量が多く、ナチュラルではないと評価された
みたいな感じ。
要するに、
- すっぴんよりはとりあえずメイクした方が魅力的に見える(これは今までの研究と同じ)
- プロのメイクはセルフメイクより、魅力的だけど作られた顔っぽくてナチュラルじゃない印象を与える
ってことですね。
実験2:女性らしさ、地位
さらに研究チームは2つ目の実験として、別の観点からセルフメイクとプロのメイクの与える印象をチェックしております。
実験では、実験1で撮られた写真を使って、別の採点者86人に以下のようポイントを評価してもらいました。
- どのくらい女性らしさを感じるか?
- どのくらい地位が高そう/低そうに見えるか?
- 目元や唇など、特定の場所にどのくらいメイクをしているように見えるか?
- 全体的に肌にどのくらいメイクをしているように見えるか?
メイクによって女性らしさとか地位が高く評価される、というのも過去の研究で確認されていたわけだけど、これまたプロのメイクと素人のセルフメイクでどう違ってくるのか?ってのをチェックしたわけです。
で、その結果は、
- すっぴんに比べれば、セルフメイクもプロのメイクも女性らしさ(t=11.47, 12.67)、ステータス(t=11.26, 12.25)が高く評価された
- プロのメイクはセルフメイクよりも女性らしさ(t=4.64) 、ステータス(t=6.35)が高く評価された
- プロのメイクはセルフメイクよりも特定の部位の化粧、肌の化粧の量が多いと評価された
といった感じ。女性らしさ、ステータスという観点から見ても、プロのほうがセルフメイクよりもやや高い評価を得られたってわけですね。
まとめ
そんなわけでまとめると、
- プロのメイクはセルフメイクよりも魅力的
- 女性らしさを感じる
- ステータスが高そう
- ナチュラルさは損なわれる
といった感じで、やはりプロの施す化粧のほうが印象を大きく左右するみたい。
もっとも、「すっぴん vs セルフメイク」と「セルフメイク vs プロのメイク」を比較した場合、前者の違いのほうが断然大きかったんですよね。この点について研究チームは、
このことは、素人が自分でメイクアップをしてもプロがメイクをした場合と大体同様のメリットを得られ、その差は小さい。
とコメントしておられまして、別に普段通りのメイクでもプロのメイクにそれなりに近い恩恵を受けられるかも、と。
とはいえ、プロのメイクのほうが魅力や女性らしさ等が高く評価されたのも事実で、この違いがわかれば、セルフでももっと魅力を引き出せるんじゃない?と考えられるわけです。そこで、違いが生じた原因については、
- 化粧にかけた時間の違い(この点を検証したデータはない)
- 使った化粧品や道具の質
- 使った化粧品の量
みたいなポイントが考えられます。
もっとも最後の3つ目の点については簡単なモデルが検証されていて、
- 「化粧の量が多い」という評価と「魅力」に有意な相関は見られなかった
らしいんですな。
てなわけで、とにかく高級な化粧品を塗りたくればいいというわけでもなく、やはりプロの美的なセンスや経験、技術が女性の顔の魅力を高めてくれるのかも。
「メイクアップアーティスト」の名は伊達じゃなかったというわけですな。
参考になれば幸いです.質問やコメントなどありましたらTwitterやお問い合わせのページからご連絡いただけると嬉しいです.
それではっ!