「コーヒーが体にいい!」という話はよく聞くわけです.もっとも,血管関連(血管の内皮機能とか)を改善してくれるか?みたいな点についてはまだまだ議論が続いています.先行研究を見てみても,その結論はバラバラになっていて,いまのところ,この点に関しては,「コーヒーは血管の健康にいいかも…?」くらいの曖昧な感じなんですよね.
で,新しく「適度なコーヒーは高血圧のリスクを下げる!」という結論の研究(R)が出ておりました.高血圧のリスクが下がれば,当然心血管系の病気のリスクも下がることが予想されますので,コーヒーを飲む人にとってはうれしい内容じゃないでしょうか.
これは,8780人の参加者を対象に,平均3.9年間追跡したコホート研究になっております.まずは簡単にデザインを確認しておくと,
- 参加者の年齢は43歳から55歳(平均年齢は49歳).
- 55%の参加者が太りすぎ又は肥満.
- 60.2%の参加者が非喫煙者.
- 高血圧の定義は,最高血圧140mmHg以上 または最低血圧90mmHg以上.
って感じで,コーヒーを飲む頻度と,高血圧になるリスクの関係を調査したわけですな.
で,その結果はというと,
- 90%の参加者がコーヒーを飲み,平均して,一日に150mLのコーヒーを飲んでいた.
- トータルで1285人が高血圧を発症した.
- コーヒーを全く,またはほとんど飲まない人に比べて,一日1-3杯飲む人は,高血圧のリスクが低かった(RR=0.82, 95% CI: 0.68-0.97).
- 非喫煙者のみを比較しても同様に,一日1-3杯コーヒーを飲む人は高血圧のリスクが低かった(RR=0.79, 95% CI: 0.64-0.98).
- 喫煙者は,コーヒーを飲む量によって高血圧のリスクに優位差はなかった.
- 一日3杯以上飲んでもリスクの低減と優位な関係は見られなかった (RR=0.85, 95% CI: 0.70-1.04).
みたいになります.こうしてみると,「適度なコーヒーは高血圧のリスクを下げてくれそう!」って感じがします.具体的には,非喫煙者にとって,「一日1~3杯のコーヒーで高血圧のリスクが約20%下がるかも!」とまとめられそうです.
もちろんご存じの通り,たばこは血管をボロボロにしてしまうので,コーヒーを飲めばたばこを吸っても大丈夫!とは決してならないのでご注意を.研究チームも,
もし,コーヒー由来の成分が,コーヒーの消費と心血管系のリスクの関係の重要な仲介になっているのだとしたら,喫煙による有害な影響は,コーヒーによる心血管系へのポジティブな効果を上回ってしまうかもしれない.その結果,この,コーヒーによる影響は,非喫煙者にのみ見られるのかもしれない.
といっていて,いくらコーヒーによるプラスの影響があっても,それを上回るだけのマイナスの影響がたばこにはあるんだよーということですね.
てことで,高血圧のリスクを下げるためには,喫煙者の方はまずは禁煙に取り組むべし,非喫煙者の方は1日1-3杯程度のコーヒーを嗜むべし,という感じの結論になるんじゃないでしょうか.
参考になれば幸いです.それではまた.
<おすすめ本>