瞑想関連の論文について軽くまとめときます。
慈悲の瞑想で共感能力が向上するかも?
慈悲の瞑想ってのは、「生きとし生けるものが幸せでありますように」っていう感じを基本の精神としている仏教の瞑想ですね。
ヴィパッサナー瞑想とセットで使われたりしています。
Emory大学の研究によると、慈悲の瞑想によって、共感能力が脳レベルで向上する可能性が示唆されています。(R)
20人の健康な参加者を対象にして、共感能力をテストし、CBCTを受けたグループとそうでないグループとでのテストのスコアを比較し、さらにその時の脳の状態をfMRIでチェックしました。
CBCTっていうのは、cognitive-based compassion training の略で、簡単に言えば慈悲の瞑想のプログラムで、幸せホルモンといわれるオキシトシンを増やす可能性が示唆されていたりするプログラムです。
CBCTを行ったグループでは、コントロール群に比較して、共感能力を計るテストのスコアが高く、さらに下前頭回や、dmPFCの部分の活動が活発化していたことがわかりました。
これらはいずれも共感能力との関係性が考えられている部位です。
共感能力は、高すぎても生きづらさを感じてしまうこともあるでしょうが、あまりにも少ないと、日常生活やビジネス等、あらゆる場面でネガティブな影響を受けやすかったりする可能性があるので、適度に保っておくべきものと言えるでしょう。
薬物治療による共感能力の改善は以前から行われていますが、瞑想による改善は、特に日本なんかではあまりまだ一般的ではないような気がするので、副作用もあまりないでしょうし、やってみる価値はあるかと思います。
瞑想でCVDの予防になるかもしれないというRCTの話
CVDっていうのは、cardiovascular disease の略で、心血管疾患のことです。
超越瞑想という瞑想プログラムを行うことによって、心血管疾患のリスクの軽減の可能性が示唆されていました。(R)
超越瞑想というのは、ヒンドゥー教の瞑想法で、ストレスや偏頭痛の軽減等が他の研究で示されていたりします。
201人の冠静脈心疾患患者であるアフリカ系アメリカ人の男女を対象にして、超越瞑想のプログラムに参加したグループとコントロール群を比較したところ、以下のような結果がわかりました。
- 全死亡率、心筋梗塞、脳卒中からなるリスクが48%減少した。
- 心血管系の死亡率、入院率、血圧上昇、ストレス等からなるリスクが24%減少した。
ってことで、心血管系の病気に苦しむ可能性が低くなっていたということですね。
心血管系の病気が、ストレスや血圧と関係していることは以前から言われていることですから、それによって、心血管系のリスクが減少することが考えられるわけですね。
冠静脈心疾患を患っていない人についてはどこまでの効果が期待できるのかは定かではありません。
もっとも、ストレス値や、血圧を健常な状態に保っておくことは心血管系の病気の予防という面以外でも重要なことですから、実践してみる価値はありましょう。
超越瞑想でなくても、他の瞑想法でも、ストレスや血圧改善の可能性は示されていますから、自分に合ったもので試してみるのをお勧めします。
参考になれば幸いです。それではまた。