メンタル

習慣的な行動を改善するための【動機づけ面接】ってどうなの?を調べた系統的レビューのお話

「動機づけ面接」ってどうなの?って点を調べた系統的レビュー(R)が出ておりました.

「動機づけ面接」ってのは,中毒や依存症の改善とかに利用される方法で,簡単に言うと,「対象者との会話を通じて,本人の価値観を引き出し自覚させることによって意識や行動の変化を促す」っていうやつです.

この方法は近年では,アルコールやたばこの依存症等の改善以外にも,肥満改善のための運動の促進,歯磨きの促進,がん患者の治療みたいに,いろんな目的のために使われているんですが,それって実際どれくらい意味があるの?という根本的な問題について調べてくれたわけです.

別にこれは医療やカウンセリングの現場等に限られる話ではなくて,例えば子供の悪癖を直すみたいな目的のためにも使えるかも?と言われる方法だったりするんですよね.



これは,エジンバラ・ネピア大学などの調査で,2000年から2018年までに発表された論文から104件をピックアップ.まずは動機づけ面接の目的のパターンを以下の4つに分類してます.

  1. ドメイン1:アルコールやドラッグ,ギャンブルからの脱却のように,不健康な行動の回避
  2. ドメイン2:歯磨きをするとか,体重管理をするみたいに,特定の問題を解決するための健康的な行動の促進
  3. ドメイン3:飲酒,喫煙の減少から,身体的活動時間を増加までまとめて対処する,みたいに,複数の問題に対処するための行動の促進
  4. ドメイン4:緊急時やプライマリーケアの時にどうするかみたいに,特定の状況における行動の変化


このうち,レビューに含まれた論文の多くはドメイン1かドメイン2だったそう.

でもって,まずはすべての研究からわかった結論から見てみると,

動機づけ面接は当初,禁煙やアルコール断ちのように,健康問題に対処するために開発されたが,その介入の正確性が維持されている場合に限ってその効果に対する支持がみられた.

しかし,動機づけ面接はすでに幅広い健康上,社会的な問題に対処するために,一貫性のない効果の下,「どんな場合にもうまくいく」アプローチとして利用されてしまっている.


とのこと.要するに,禁煙や禁酒のようなもともと想定された目的の下ではその効果が実証されたけど,それ以外の分野ではその効果には疑問符が付くというわけですな.

さらにその内容をちょっと詳しく見てみるとこんな感じのことがわかりました.

  • バイアスのリスク,異質性などが理由で,全体的にエビデンスの質は高くない.
  • アルコール摂取量の抑制,禁煙,ドラッグ断ち,身体的活動の一部,性的健康が目的の場合には,動機づけ面接の効果が確認された
  • ドメイン1が目的の場合が,もっとも動機づけ面接の有効性がみられた
  • ドメイン2に関しては,身体的活動の促進を除いてはエビデンスの質が低かった.


ということで,基本的に動機づけ面接は,禁煙や禁酒,運動量の増進といった限られた用途のためのみに使うのがいいかもってことですな.

もっとも,禁煙や禁酒に対する効果量は0.2程度で,他の介入とさして変わらないみたい.なんで,禁酒等に関しても格別有力な方法というわけでもなさそうだなーっていう印象を受けました.

というわけで,もちろん今後の研究で覆る可能性は十分ありますが,とりあえず現段階では動機づけ面接は最善手ではないんじゃないかなーっていう話でした.

やっぱり習慣的な行動を改善するには,if-thenプランニングのようなもっと具体的な方法まで決めてしまうような形にした方がいいのかもしれませんな.

参考になれば幸いです.質問やコメントなどありましたらTwitterやお問い合わせのページからご連絡いただけると嬉しいです.

それではっ!

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